わたるんといっしょ


「やはり、“これ”には手を出せませんか」


次元違いのモノは、怪異を凌駕する。


――何を、期待していたんだか。


思いながら、渉は肩に手を置いた。


こんなことをしている自分が分からない。分かりたくないが故に、考えたくなどなかった。


「好美さん……」


彼女には悪いことをしたな、と別れ際の顔を思い出す。


死ぬつもりなんかなかった、僕は何があっても死なない――二十歳になるまで生かされると確信していたからこそ、ひきこさんにもああして立ち向かえたが。


「痛い思いと、怖い思いは別物……か」


いつかの言葉を――医者に言われたことを思い出す。


この世界は、怖いもの。肩に置いた手が震えていたから、より強く肩を掴んだ。


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