わたるんといっしょ


「結局、死ねないと分かっていたのに」


また飛び降りた。


自嘲する。頭を抱えてうつむいた。


飛び降りたならば必ず無事でも、たどり着く先は想定外。


「いやだな」


この世界は。

気持ち悪いモノは見慣れたつもりでも、匂いに関しては慣れない。


水と藻が絡み合った匂いはもとより、生臭さ。そうして薬品の刺激臭さえもして、匂いを発端に、ある記憶に結びつく。


『“浄め儀”をします』



傷つけられない体を浄めるために、水をかけられた記憶が呼び戻される。


「……」


幻だ、と頭を振っても、“あの人”の罵声が頭に響く。


< 118 / 454 >

この作品をシェア

pagetop