わたるんといっしょ


『あんたのせいでっ、あんたさえいなければっ!』


そればかり。
世間一般では虐待と言われることでも。


「僕は、いじめられただなんて……」


思っていない。


ぜんぶ、僕が悪いんだ。――そうして、“あの人”がああなったのも僕のせいだから。


「アたしが、醜イか?」


「……!」


顔を上げれば間近。口元を歪ませた女が立っていたため、渉の心臓が跳ねた。


「醜いか、みニくいカ、みニクいか」


醜くないとは世辞でも言えない顔が、渉を覗き込む。


灰色の肌、生え揃わない歯に、ボサボサの長い髪。山姥のようなその形相は――見覚えがあった。


似てる。


「すみま……」


見た瞬間に、そう言いたくなってしまう――“僕のせいで壊れてしまった人に”。


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