わたるんといっしょ


「すみません……」


僕のせいで、壊れたあの人へ。



「すみません……っ」


こんな僕に優しくしてくれる人へ。


「すみません、僕――」


不幸になるのを望みますから、その不幸の分、どうかみんなは幸せになってほしい。


幻聴と妄想、この世界(負)に呑まれた渉の頭を女が掴む。


頭皮をむしるように掴もうとも、すぐに離したのは――渉の呪物が邪魔したからだったか。


『あなたのために』


さわりと感じたその気配に寒気立つ。


鼓膜を破らんばかりの哄笑すらも聞こえてきた。


< 121 / 454 >

この作品をシェア

pagetop