わたるんといっしょ
「すみませ……ん」
違う違う、こいつはあの人じゃない。まったくの別人なのに、重ねてしまうんだ。
「アたしが、みニクいか」
『あたしが、憎いか』
とうとう耳までおかしくなったと、渉は一歩下がった。
「すみません、僕……っ」
頭を下げながら、謝って済む問題じゃないからと、膝を折った。
膝を追って頭を垂れる姿勢が、より負を招く。
頭上にある気配、それを見ないようにと必死に目を閉じる自分は――ああ。
“何も変わっていない”。
変わらないんだ、僕は。
このままずっと引き摺るんだろうと思った。
表向きでは、優しい家族たちの思うように振る舞ってみせても、根は腐っている。