わたるんといっしょ


「っ……!」


悪夢が来る。
反射的に後ろを振り返ったと同時だった。


哄笑が糸切れたように唐突に止み。



「少年は果敢カー?いやいや、単なる馬鹿カァ」


卑しい笑みを浮かべた女に、後ろから抱き締められた。


「なっ……」


驚く間にも、引っ張られる。


前方では、ひきこさんが憎悪の色を浮かべていたが追ってこない。


水面に引きずり込まれる感覚から、目を閉じ息を止めたその数秒間で。


「渉くんっ」


現実に、引き戻された。


「……、ぁ」


あんな世界にいたものだから、落ち着くここが天国にでも思えた。


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