わたるんといっしょ


「やー、わたるんここにいてー」


わたるんの袖をくぃくぃ引っ張り、いやいやする阿行が、一番の砦のような気がした。


「そう言われましても……、これから藤馬さんに、これを届けなきゃいけないので」


「いかポッポー?」


「はい」


「わたるん一人で食べるのー?」


「いえ。家に帰って藤馬さんと一緒に。阿行さんも来ますか?」


正味な話、砦の阿行への通過策でもあった。藤馬に会わせるのは少し気が引けるが、阿行が何かされそうになったらすかさず『奥さま』にでも連絡すればいいだろうと結論づける。


食べ物命な阿行にしてみれば、この誘いに乗らなきゃ、何に乗るという話だ。


「俺の腰上だああぁ!」


下半身ない骨は黙っとけ。


「んー、まだいけないのー」


話は戻って、なんと阿行はわたるんの誘いを断ったではないか。


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