わたるんといっしょ
「好美さん……」
「渉くんの友達は、今のところ私だけみたいだし、私も渉くんしか友達いないから、ずっと仲良くしていようよ。友達いなきゃ、寂しいよ?」
せめて、渉が寂しくないと思えるほどの友人ができるまでは、傍にいたいと思った。
「そうだ。渉くん、これやって」
そうして、両人差し指の先を合わせて橋を作った好美に――渉は堪らず笑った。
「あんなことがあった後に、エンガチョですか」
「カラスの羽見たらやるんだよ。都市伝説でない?」
「日本の風習ですよ」
そうして子供の遊び。悪いものを切ってしまうという、そんな。
「友達でなきゃ、やってもらえないからね」
この遊びは――
「確かに、二人いなきゃ出来ませんね」
あなたといるからこそ出来ること。
悪いものを切る。
何気ない行為なのに、好美とそんなことが出来る今があってこそ、本当に効いた。
これで悪いものは取り払われたと、心の荷が軽くなった気がしたんだから――