わたるんといっしょ


(二)


お風呂や寝るときも一緒とまではいかないが、渉は出来うる限りの時間を水晶に費やした。


家では臆面もなく触れるが、外出先ではこっそりと触れるのみ。


学園内でも、そうするつもりではいたが、すれ違う生徒たちの中には、大きなぬいぐるみを持っていたり、狼連れていたり、蛙を頭に乗せていたり、果ては銃刀法違反という、フリーダムさに、恥ずかしさなんてないかと、渉は授業中でも水晶を膝上に置き、移動教室のさいにも両腕で抱えてみせた。


フリーダムな天神でも、渉が水晶持って出歩いている姿は、『奇怪だっ』とある種の噂が広まるのは、まあさておき。


「パンはパンでも、食べられないパンはなーんだ?」


背中におぶさる阿行がいいように、校舎の外をうろうろとする渉は、今もまた水晶を抱えている。


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