わたるんといっしょ


“招かれなければ”とは、春夏秋冬家がある山の土地柄でもあった。


誰にも意識されない土地が転じて、家主の導きがなければ立ち入ることができない神脈。


ただ実情を言えば、この反則技を使う藤馬のせいでこの前みたいな渉(家主)が知らない客人は来るには来るが。


ここまで怒るとあっては、藤馬の預かり知らぬところ。原因は自分にあるかと渉は思い返し、ピンと来ることがあった。


「水晶……」


異世界から召喚された妖精の卵。


あの水晶から匂いがするわけないが、藤馬の鼻には“他所もんの匂い”だと、その嗅ぎ慣れない空気が逆鱗を撫でているのかもしれない。


そうとなれば、原因を摘めばいいが、出来るわけがない。


「えっと……」


今現在、水晶は自室においてある。勉強に集中するのにあたって、あの水晶があれば“触らなきゃ”と感じてしまうためにした安易な策だが、幸いとも言うべきか。


今の藤馬に、水晶(他所者)を手渡せば、砕かれることしか想像できない。


「『知ってる』って、顔してんなぁ、おい」


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