わたるんといっしょ
生徒の危機とあってか、らしくないしゃべり方をするテレサは、おふざけが一切通用しない。
それだけ、あの異形が恐ろしいものである証拠なんだろうが。
「大丈夫です。先生が助けてくれましたから」
厳密に言えば、赤い鎧の君――ブリュンヒルデなんだろうが。そこはテレサ自身が訂正するらしく、ワタルの体を立たせながら、口を開いた。
「もー、ブリュンがいたからいいものの……。何なのあれ?『嫌な気配が』とかブリュンが急くから来てみれば、この世界にも悪魔なんているの?」
「悪魔というか……」
種別は違うんだろうが、あの怪異の正体を知らぬ手前、どう称するべきか迷う。
分からないならばそれでいいと割り切れるのか、テレサは落ちていた傘と懐中電灯を渉に渡した。