わたるんといっしょ


「ワタルくん、下がって」


雨に濡れることお構いなしで前に出たテレサで確信した。


“いる”――


異形は両断されたかと思えど、やった当人が警戒色を消さないのならば、失敗であったのは自明。


テレサとてブリュンと同じ空気を身に纏うあたり、ますますもって、ソレが危険だと伝えてくる。


ノイズが走るような雨足の夜。固唾を呑んで、闇を見つめ、聞こえてきた足音に心臓が跳ねた。


あの異形とは違う足音。ざっざっと地面を擦り、ぴちゃぴちゃと雨水を蹴るような音の主は――


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