わたるんといっしょ


「いえいえ、まだまだ足りないわ。彼女には、もーっと泣いてもらわなきゃー」


黒い笑みを浮かべつつ、テレサが取り出したのは……一本の筆だった。


ふさふさな先端が、妖精の体を隅から隅まで、こちょこちょと。


「きゃははっ、く、くしゅっ、きゃははっ、くしゅぐっちゃい!やーっ、だめにゃのー、やーっ」


笑い泣きする妖精。ぽとぽと零れた涙は、予め準備していたペトリ皿に溜まっていく。


「ふう、こんなものねー」


小指の先ほどしかない涙が凝固し、結晶化したところで、お仕置き終了。


「うわーんっ。パパー!ワタシ、おかしゃれちゃったよー!」


「……」


「よごしゃれちゃったー、およめにいけにゃいー!もう、パパとけっこんしゅるのー!」


「えぇ……」


何という極論だ。
これもモテわたるんの特性故にか。人間、怪異、妖精から求愛されるとは、やりおるわたるんである。


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