わたるんといっしょ


注文したならば、食べきる。


マナーとしての常識であり、男とて、出てくる料理を食べていたが、二、三品でフォークを置いた。


残すのは明白。胃の許容量を超えたであろう丸まった腹を撫でる男に、店員は、まだ出していない料理はキャンセルするかの旨を聞くも、また怒声。


ひたすらに持ってこい。果ては店長まで出てきたが、先会計ということで、店側が白旗をあげた。


次々と運ばれてくる料理。それをただ眺めるだけの男。甘いものは別腹らしく、デザートスプーンは持っていたが、一口二口で飽満となる。


しまいには、テーブル三つも使うような事態ともなり、料理が全て出てくるまで二時間はかかったであろう。


二時間。昼はとうに過ぎたそんな時。男は、何も言わずに店を出た。


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