わたるんといっしょ


川堀さんの言うように臆病風に吹かれて、足が動かないなら、ぜひそうしてほしい。非力な僕でも、この男性を、安全地帯(こちら)までは引っ張られるだろうから。


「やめましょう」


「つー!構うな、俺に!」


手が届きそうなほどのところで、殴られそうになった。


よほど僕が気に食わないのか、ああ、自殺の邪魔されたと怒っているのかもしれない。


立てた予定を、赤の他人に崩されたら怒る気持ちも分からないではないけど、引き下がるわけにはいかなかった。


一発二発、八つ当たり気味の拳を受けるかなと、歯を噛みしめつつ――


「やめなさい、少年。自殺しようとしている奴に手を伸ばすだなんて――道連れにされてしまいますよ」


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