わたるんといっしょ


人殺しの死神と、嫌(おも)われてしまうのが――怖いんだ。


「川堀さんが、ここにいたのって……」


「根なし草なため、各地を回っているだけですよぅ」


それに嘘はない。
けど、『五十鈴が受け持つエリア』だと分かっているのならば、この地に足を踏み入れる“思い入れ”とやらも違うだろう。


「さて、私もそろそろ帰りましょうかね」


踵を返す川堀で、その背中を見る。


茶系の分厚いコートに、ひどい土汚れがついていた。


「あ、コートが」


「ん?あぁ、いいんですよぅ。昨今、コインランドリーという便利な洗濯屋さんがありますからねぇ」


洗うということは、また使うのだろう。


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