わたるんといっしょ


「また大切な人が増えました」


「なら、私も、出来うる限り、馬鹿なあなたを助けましょうかねぇ。いやぁ、今日はなかなかに良い日でしたねぇ。願わくば、また、こんな時が訪れるように、今は――」


「はい」



「「生(行)きましょう」」



妖精の寝息が聞こえるほどの静寂。


立つ鳥跡を濁さずと言うが、川堀が立っていた地には何も残らない。


黒の帳に似合う漆黒が月を横切る。


人の顔大ほどあろう立派な蝙蝠が、声を出さずに鳴いた気がした。


『会えて良かった』


会えない人がいたから、あなたに会えて良かった。


「心配、していたんですね」


渉を思うように、渉に似たあの人もまた――


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