わたるんといっしょ
「除籍……いたな。お前と出会う前の話だ。名は、そう、川堀。妙にへこへこした男で、頼りがいない奴だったが。何を思ったか、介錯の真似事をしたらしい。
……、馬鹿な奴だったよ」
寂しげに呟く五十鈴が、上を向く。
川堀という男を思い出すように。
「それほど懇意な仲ではないが、私は川堀が心配だった」
「心配って……」
「その男、会う度に顔色が悪くなっていてな。虚弱体質なのかどうかは知らんが、『万年風邪っぴき』と言えよう、不健康な奴だった」
故に、心配。
五十鈴にとっては、職場仲間が倒れられたら程度の気持ちにせよ、その動機だけで十分――
「あまりにも顔色が悪いもんだから、コートを渡したよ。『暖かくして、自分を労れ』と。それからそいつはコートを着ていたようだが、まったくどうして、健康とは無縁の男だったよ」
過剰に優しくしてしまうお節介。けれども、人々の死に様を立ち会い、憔悴しきった彼には、彼女がどう思えたか。