わたるんといっしょ


取り止めた勘繰りが、一つの可能性となる。


ある言葉を口元まで出そうとしたが、呑み込んだ。


第三者が立ち入るべき問題じゃない。――ただ、でも。


「五十鈴さんは、その川堀って人を、どう思っていますか」


「どうも何も、除籍されてから十年以上は会っていないから何とも……だが、“思えば”」


灰色の髪が、風でさわつく。


「今は元気でやっているか、気になるな」


その言葉が、風に流れて彼に届けばいいのに――


万年風邪っぴきな男。未だに心配だなんて、ああ、彼と同じじゃないか。


もどかしい関係性。けど、自分がしゃしゃり出たところで何も変わらない。


試行錯誤したところで、画餅(がべい)に帰す。余計なお世話になりかねないのだ。見守るに限るが、自分という接点が彼らの繋ぎになればな、と思ってしまう。


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