わたるんといっしょ


――


夜と夕の境界線が紫となる時間。


渉の予想通りに誰もいない屋上で、天神学園に蔓延する『溝の匂い』について渉は話した。


「辻神どすか。あぁ、体育祭の時はしょーもないことやっとたなぁ」


「その弟です。きちんとした話はしていませんが、真面目な生徒だそうですよ」


「ほなら、わたるんはんはその生徒を救ってほしい、って言うんや」


狐面奥の素顔に笑みがないのは声色で知る。


「ややわぁ。辻神の弟やなんて、兄と同じでしょーもないんやろうし」


「冬月くん……!」


なんてことを、と声を上げた渉を見て、冬月はくつくつと笑う。


「小岩井さんの話ぃ信じるんとすれば、その辻神弟は、溝の匂いの怪異を『取り憑かせた』んやろ。――何のために?」


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