わたるんといっしょ
「それは……」
「怪異取り憑かせるなんて、それこそ“しょーもない”わぁ。なにぃ考えているやなくて、何を企んでいるか。それが悪巧みやなんて目に見て分かりますぇ。
現に“被害者”が出てるやないの。用務員、学園長、チャイナ。おまけにスペシャルバカまで。誰が誰に何をした。被害者、加害者はっきりしてますさかい、どちらが“悪”かは言うまでもなく、どすえ。
そんな悪人を救うやなんて、わたるんはんはお人好しやねぇ」
そこが可愛らしいと付け加えられても、渉の心は乱されたままだった。
「お人好しでも……、ほうっておけないんです。辻神くん――誠一郎くんは何だか、僕と似ているような気が」
して、とまで口に出来なかったのは、冬月が渉の学帽を手にしたからだった。
「わたるんはんは、“悪人”やない」
狐面をしているからと被らなかった学帽。面を、帯刀した蜘蛛切に引っ掛け、渉の匂いが染み付いた帽子を鼻に当てる。