わたるんといっしょ
犬童美肌術はさておき、寝苦しくの単語で渉の眉ねがわずかに動く。
動揺しないポーカーフェイスにしては珍しい。僅かでも、大きいと思える変化を犬童は見逃さなかった。
「あ?やっぱ暑くて寝れないたち?」
「いえ、暑さ云々ではなく……」
話そうか話さないかと惑う暇も与えず、犬童がスプーンを渉につきつけた。
「話さなきゃ、『ふえぇ、わたるんに体ナメナメされちゃったよー』って言い触らすぞ」
「……。悪夢を見るんです」
爆笑されたのは早かった。
「ぶはっ、ガキっ!悪夢で眠られないって!」
「笑い事で済めばいいんですが……」
意味深な言葉に犬童が口を閉じれば、渉は部屋の棚上に置いてある手帳を手にした。