わたるんといっしょ
黒い皮の手帳。
『春夏秋冬手記』と名称あるそれは、古今東西、あらゆる都市伝説が書かれている。
「夢で殺されれば、死ぬ。そういったモチーフの話は各地にあり、締めには必ず、『この話を聞いた者の夢に現れる』との言葉がつくものばかり」
さすれば、『それを知っている段階』で渉もまた然り。どんな内容かを犬童に説明しないあたりは――
「なに、“来たの”か?」
間を置き、頷く渉だった。
汗が冷えきり、背中から鳥肌が立つ。
暑いからこそ、“これ”を狙ったのかと笑い話にしても良かったが、空気が読めないわけじゃなかった。
「多分、明日あたり……」
手帳を見る渉の言葉が何を意味するのか。怖さが先達――けれども。