わたるんといっしょ
「渉くん、いじめられているの……?」
いじめられっ子は、引き摺らない。
それならば何もせずとも、渉は無事でいられるだろうが。
「――どう、なんでしょうね」
表情こそは変わらないものの、声は自嘲の色を含んでいた。
「僕は“あれ”を、虐めだとは思っていませんから」
意味を聞こうにも、渉の足は進む。
斜面を下り、何の迷いもなく化物の行く手を阻むそのさまは、怖いもの知らずと言っても過言ではないが。
「わたる、く……」
彼自身が、怖い。
「渉くん……!」
自ら死地を歓迎するかのような、その――自殺志願者と代わらない姿勢が怖かった。