宇宙人とストーカーと私



いつもより早急に奴を駆除できた嬉しさからか、足取りが軽い。


今日はもしかしたらいいことがあるかもしれない。


アイツが引っ越すとか、アイツが交通事故に遭うとか、アイツに彼女ができるとか。


だって今まであのストーカーのせいでロクな目に遭わなかったのだ。


中身は変態でも容姿はあれだから、彼の本性を知らない女子には恨まれるし。


ストーカー対策のグッズを買いあさっているため、お小遣いは毎月ガリガリ削れるし。


いつどこにいても、何をしていてもどこからか視線を感じるし。


そのせいでメンタルは人より強くなったけど、そんなスキルはいらない。


私は飽くまで普通に暮らしたいのだ。


普通に大学に行って、普通に就職して、普通に恋をして結婚して。


郊外に庭つき一戸建てを買って子供と旦那と幸せに暮らす。


それが私の夢なんだ。



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