僕はキミの名を知らない
「可愛いキミが僕の彼女なら嬉しいのに」

「私が彼女です!」

この言葉は魔法の呪文並に効果ありだな。

「キミの名前は?」

「教えない」

「かわい…」

「待って!そればかりは可愛いと言われても教えません。私の名前を思い出すのはテスト的要素も含んでいるから」

「そうなんだ」

テスト?なんの?

「それじゃ、次の質問をします。私が誕生日プレゼントに贈った軽量スニーカーの色は何色だったかを思い出してください」

誕生日?軽量スニーカー?だいたい僕の誕生日はいつだった?こんなことも分からないのにスニーカーの色なんて思い出せないよ。

「難しいです。頭割れそうです。ヒントを下さい」

「このポンコツ頭が!」

またグーパンチで殴られた!

「殴らないでくれよ!僕だって必死なんだ。可愛いキミの名前を思い出したくて」

「ポンコツのくせに…ポンコツのくせに…心くすぐる言葉が上手すぎ!」

とりあえず魔法の効果はあったみたいだ。
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