僕はキミの名を知らない
「あなたの誕生日は5月4日。その日は祝日だよね。なんの日だったでしょうか?キュウリ的な色の日なんだけど」

キュウリ的な色って…。5月4日はみどりの日だから…。

「あっ!そうだ。僕は誕生日にキミから緑色のスニーカーをもらったんだ!そしてキミは僕にこう言った『みどりの日に緑色のスニーカーのプレゼントって良くない』って!僕はキミの顔を知っている!キミは僕の彼女だ!」

「思い出したのね!それじゃ私の名前は」

僕の頭に色々な記憶が溢れ出す!緑色のバイク。みどりの日の誕生日。緑色のスニーカー。そして彼女の名前…。

「えーっと。大川じゃなく、石川でもなく、鮎川とも違う」

「川はあってる!もう少しだよ!色が先に付くの!ほら、ピーマンの色は何色?」

ピーマンの色は…。

そう考えている最中、僕の額から赤い血がポタポタと垂れてきた。さっきから彼女に殴られ続けている所為だろう。

ピーマンの色か…。

「ピーマンの色は赤色だから、キミの名前は赤川だ!」

「…違います」
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