僕はキミの名を知らない

彼女は目を閉じ、肩を小刻みに震わせ始めた。この身動きは“喜び”じゃない“怒り”だ！僕はなにやらしくじったらしい。

「赤川は…あなたの元カノの名前でしょ。私の名前は緑川よ。今まであなたが記憶喪失だから、それなりに導いてあげてたのに…。なんでピーマンだけ赤色のイメージが浮かぶの！普通は緑色だよね！レッドピーマンはないよね！それとも私の名前より元カノの名前に執着があるの！」

そして僕の頭部は、何度も何度も彼女のグーパンチの餌食となる。

「勘弁して下さい！僕が悪かったです！」

「もう、いっそのこと元カノの記憶と自身の命を喪失してしまえ！このポンコツ野郎！」

明日もまた目覚めたら記憶がないのだろう。それは事故の後遺症ではなく、彼女のグーパンチの所為だけど。

でもなるべくピーマンの色は緑色と答えるよ。そして緑川の名前も間違わないように努力する。だからもう殴らないでくれよ。

ああ…。記憶が消えていく。

看護師さん助けてください。そして…この暴力的な女子高生は誰なんですか？