【完】運命は罠と共に
1人さっきまでいたソファーに座ると少し色々な疑問が浮上してきた。


さっきまで高揚していた気持ちに、もやもやしたものが覆い始めた。


なぜ彼女は独り暮らしをしているのだろうか。


実家は近いと言っていた。


独り暮らしには明らかに広い部屋。


そして極めつけは寝室のダブルベッド。


まるで誰かと同棲でもしていたような部屋だ。


自分でも自分が可笑しくなった。





お互いにいい大人なのだからそれぞれに過去があるのは当たり前の事だ。


そんなものに嫉妬する日が来ようとは。


俺にだって自慢できないような過去がある。


………相当惚れ込んでるよな。


けれど、このもやもやしたものをどうにか払拭したい。


後からそれとなく彼女に聞いてみようか。






さて、彼女の目が覚めるのをこのまま待つしかないな。


「俺耐えられっかなー」


俺の苦悩に満ちた時間はもうしばらく続く。








side彼:田中洋輔 end
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