【完】運命は罠と共に
洋輔さんのお祖父さんである中尾さんの家までの残りの道のりは、他愛も無い話をしながら進んだ。


着いた場所は、

――私の家の近くだった。


「ここ……たまに通る道だ」


買い物に行く際に通る道沿いの家が目的の場所だったらしい。


「奈々の所からのほうが近いんだよな。だから、たまに奈々の家に行く前に寄って、様子見に来てたんだよな」


「そうだったんですね。知らなかった。言ってくれればよかったのに」



洋輔さんそんな事までしてたんだ。


いくら自分で動けるといっても、多少の手伝いが必要なお年よりが敬遠されがちなことは、仕事を通して痛いほど分かってた。


それなのに、何でも無いことのように言う洋輔さんのことを尊敬した。



中尾さんには他に家族はいないのかな?


「他にご家族は?」


気になって聞いてしまった。


仕事柄なのか、こういう家族背景はすごく気になるところ。


「俺の母親が一人娘だったんだよ。祖母さんは俺が小さいときに亡くなったし、近くに住んでる身内は俺だけなんだよ。まぁ、おれも祖父さんだけなんだけど」


洋輔さん気付いてるのかな?


お祖父さんの話をする時は、すごく優しい顔してるって。


家族を大切に出来る人は、男性としてというか人として本当に素敵だよね。




まさしく私の理想だった。


あー、また惚れ直してしまった。


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