【完】運命は罠と共に
「急に泣くなよ。俺、奈々の涙にはとことん弱いんだから」


「だって……嬉しかったから仕方ないじゃん」


拗ねたように答えると、洋輔さんの手が私の頭をガシガシと撫でた。


洋輔さんはよく頭を撫でてくる。


私はそれが好きだったりする。


彼になら甘えても良いような気にさせてくれるから。




「安心させたいついでに、もう1つ言っとく。俺は奈々とは将来のこともちゃんと考えてるからな。軽い気持ちで付き合ってるわけじゃないから。付き合ってからはまだそんなに経ってないけど、俺は何年も前から惚れてたんだからな。正式な話はまたするけど、俺が真剣に考えてることだけは覚えてて」


思いもよらなかった言葉だった。


私なんかでって考えていたのに、まさかこんな言葉をくれるなんて。


私ももちろん洋輔さんとずっと過ごして行きたい。



「分かった?」


「……ありがとう」


嬉しかった。

けれど、私は手放しには喜べなかった。


だってまだ洋輔さんに内緒にしていることがあるから。


……いつ話そうか。


完全にタイミングを逃してしまった。
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