【完】運命は罠と共に
いざ彼を起こそうと近づいたはいいものの、起こすのが躊躇われた。


んー、どうしよう。


悩みながら、彼の顔をしばらく見つめていた。



「キスしてくれてもいいんだけど」


急に彼の目が開き、引き寄せられてしまった。


あまりの至近距離に、視線が彷徨ってしまうのが分かった。



「冗談だよ。お帰り、奈々。ご飯出来てるけど、食べるか?」


「ただいま。今から食べてもいい?」






彼の返事を聞く前に、私は彼にキスをした。


「ありがとう」


寝起きですぐに彼が反応できなかったのをいいことに、すぐに彼から離れてキッチンへと逃げてしまった。


逃げるなよ、という声が背後から聞こえているけど、無視だ無視。


こういう時、どういう顔をして彼の顔を見ればいいのか未だに分からない。


だからこれくらい許してほしい。


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