私を壊して そしてキスして
「ふざけんな」
その言葉と共に、頬に飛んできた手。
その瞬間に、頬に熱がこもる。
「お前のせいで、あらぬ噂を立てられて……」
「噂じゃありません。あなたの浮気も、私の浮気も――」
「バカにしてるのか」
彼が興奮しながら私の胸ぐらをつかんだとき、持っていた買い物バッグが転げ落ちてしまった。
勝手だ。
自分と愛希の事はなかったことにしろと?
そんなの無理だ。
だって、愛希は私の妹。
「噂? そんなのどうだっていい。
あなたは私の妹に手を出したの。
その事実より重いものなんて何もない!」
私が叩かれた左頬に手をやりながら叫ぶと、彼が目を見開く。