私を壊して そしてキスして

「俺が養ってやるみたいな男気ってのは建前さ。
自分の好きな女を誰にも触れさせたくないってのが本音だな。
知らないところで変な虫がついたら困るってやつだ。

だから、あれだ。
そんなに焦って探すな。見つからなくたっていいぞ?」


そんな風におどけて言うけれど、その目は真剣だ。

そういえば、家探しの時も、見つからなければいいと思ったなんて口にしたっけ。



「ありがとう、ございます」


嬉しかった。
自分のことをそんな風に思ってくれる人がいることが。



けれど、ぬるま湯に浸かってばかりではダメになる。
翔梧さんのためにも、もっと自分に自信がもてるようにしないと。



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