私を壊して そしてキスして

「おぉ、君、新しい子だね」

「いらっしゃいませ」

「名前は?」

「香坂です」

「いや、それは見ればわかるから」


その人は私の胸のバッヂを指さして言う。


「下の名前だよ」

メーカーのお偉いさんなのか、少し年配の人。
仕方なく「菜那です」と言うと、「菜那ちゃんか」と言われて困ってしまう。


担当部署に引き継いでホットしていると、すぐにその人は帰ってきてまた話しかけてきた。


「菜那ちゃん。今日、仕事が終わったあと暇?」

「えっ?」

「呑みに行こうよ」

「いえ、そういうことは……」


しつこく食い下がるその人に困惑していると、営業の人が通り掛かる。



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