私を壊して そしてキスして

「なんだ、また君か?」

「先日の件で。私、やっぱり……」

「あぁ、金曜は6時にここで待ってて。
森さんもここにいらしてくれるそうだ」


森さんというのが、あのメーカーさんの名前なのだろう。


「私、お断りしに来たんです」

「はいはい。もうそんな話は聞かないよ。これは業務命令だ」

「そんな……」

「香坂さんだっけ?」

「はい」

「あんたも社会人のプライドがあるなら、仕事は引き受けなよ?」


鼻で笑いながらそういう彼に腹が立ちつつも、それならと闘志に火が付いた部分もあって。

それ以上何も言わず去って行った彼を見送りながら、私は腹をくくった。



< 180 / 372 >

この作品をシェア

pagetop