私を壊して そしてキスして

一通りの手続きをして、深く頭を下げる。

書類の用意をしてくれた上田(うえだ)さんという女性も、とても親切で安心する。
テキパキと迷うことなく書類を差し出す彼女は、その仕事ぶりとは裏腹に柔らかい印象を醸し出している人だ。
なんとなく、この人といると安心できるような。

それが翔梧さんの包み込むような雰囲気と似ていることに気が付いて、この人と一緒に仕事ができることにワクワクした。



翔梧さんの一押しで、当面は絶対に残業はさせないなんて約束させられた平井さん。

そんなこと、普通ではありえないけれど、もう彼は私の体調不良について聞いていての採用だからと二つ返事だ。


私の体を気遣ってくれる人たちに、頭が下がる思いだった。


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