くだらない短編集
私と携帯電話



■私と携帯電話


ばりばり、と彼は私の携帯電話を咀嚼していた。部屋の電気も付けず、無我夢中になって噛み砕いていた。割れた液晶の破片が刺さったのか、唇から血が垂れてきている。否、それはもしかすると、私の携帯電話が出血したからかもしれなかった。

「おいしかった?」

と私が聞くと

「まあまあだね」と彼が笑った。


< 20 / 40 >

この作品をシェア

pagetop