バイナリー・ハート


 ロイドは途端に不愉快になる。
 まったく油断も隙もあったもんじゃない。
 さっさと仕事を与えてしまおう。

 ユイがランシュの持つボウルを覗いた拍子に、ロイドがいる事に気付いた。
 それに続いてランシュも、こちらに視線を向けた。

 ユイは少し驚いたように、目を見張って声をかける。


「おはよう。今日は早いのね。朝ご飯、もう少し待ってくれる?」
「あぁ。ランシュ、ちょっと来い」


 ランシュはボウルの中をチラリと覗いて、ユイに尋ねた。


「ユイ。これ、どうしよう?」
「また後でいいわ。そこに置いといて」


 ユイに言われた通りボウルを置いて、ランシュはキッチンを出てきた。

 二人でリビングに行き、ロイドはランシュに持っていた箱を突き出す。

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