バイナリー・ハート
「お菓子はユイに任せて、おまえはこれを作ってろ」
「何ですか? これ」
箱を受け取り中を覗きながら、ランシュは怪訝な表情で尋ねた。
「オレが作ろうとしていたマシンだ。ユイが店に出ている間、おまえヒマだろう。人間、ヒマをもてあましていると、ろくでもない事しか考えないからな」
ロイドが不敵な笑みを浮かべると、ランシュはフッと笑った。
「なるほど。オレの気を紛らわせようという作戦ですか。いいですよ。機械いじりは二年ぶりだから、リハビリがてら、やらせてもらいます。ところで、これ何なんですか?」
「それは出来上がってからのお楽しみだ。その方が作りがいがあるだろう。その中に設計図も工具も入っている。おまえの得意なロボットだ。ユイの手助けにもなるから張り切って作れ」
ちょっとイヤミと恨みも込めて、ロイドはランシュの背中をバシバシ叩いた。