バイナリー・ハート


 結衣は笑って答える。


「もう。仕事なんだから気にしないでって言ったじゃない。今日早く帰ってきたら帳消しにするわ。それでいいでしょう?」

「あぁ。そうしよう」


 ロイドは笑って頷いた。


「すぐごはんにするから、ちょっと待ってて。少し早いけど、ランシュも食べるでしょ?」

「うん」


 ポットをテーブルに置いて、結衣はキッチンへ向かおうとした。
 その時、結衣の指先がポットの注ぎ口に引っかかった。
 ポットは倒れ、中に入った熱いお茶が、テーブルの上に流れる。


「ユイ、危ない!」

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