バイナリー・ハート


 湧いたばかりの熱い湯で、お茶を淹れカップに注ぐ。
 残りをポットに入れて盆に乗せると、結衣はキッチンを出た。

 ランシュは食卓について待っていた。

 結衣がランシュの前にカップを置き、テーブルの上にポットを置こうとした時、ロイドが部屋に入ってきた。

 いつもは呼ぶまで、二階から下りて来ないのに珍しい。

 ロイドは部屋に入るなり、結衣に詫びた。


「ユイ、ゆうべは悪かった」


 一瞬何の事か分からず、結衣はキョトンとする。
 しかしすぐに思い出した。

 昨日はいろんな事がありすぎてすっかり忘れていたが、ロイドが早く帰ると言ったのに帰れなかったのだ。
 それを謝っているのだろう。

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