バイナリー・ハート


「あ、また余計な事しゃべっちゃったかな」


 そして開き直ったように、ニッコリ笑う。


「ま、いいか。オレ、もう局員じゃないし。ユイはすでに色々知ってるしね。オレ、科学技術局の中で生まれた体細胞クローンだったんだよ」


 あまりにあっさりと重大告白をされ、結衣は言葉を失う。

 ようするにランシュは、科学技術局所有の、実験体のようなものだったのだ。


「でも人のクローンって禁止されてるんじゃないの?」

「うん。局内で違法に作られたんだ。人間だった時も、オレの身体は違法だったんだよ」


 そしてランシュは、出生の経緯と二年前に寿命が尽きた理由を、教えてくれた。

 ランシュは健康管理の名目で、毎月身体の検査を受けていたという。
 局に戻ってそんな事をされたら、あっさりロボットだとばれてしまうのではないかと思ったが、ロボット故に、それについては、ごまかす方法があるらしい。
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