バイナリー・ハート

 いつも店に出ている間は、電源を切っておく。
 ロボットとはいえ、食べ物を扱っている店に動物がいては、不快に思う人がいるかもしれないからだ。

 リビングのソファに座って小鳥の頭を撫でていると、ランシュが戻って来た。
 結衣の手の平にいる小鳥を見つめて問いかける。


「それ、ロボット?」

「うん。二年前にロイドがくれたの。よくわかったわね」

「なんとなくね。鳥かごが見当たらないし、先生ってそういう小さい機械、得意だし。隣、座っていい?」


 結衣が了承し横によけると、ランシュは隣に腰掛けた。


「そうね。調理機械とか携帯用パワードスーツとか、役に立つものも作ってるけど、微妙なものも多いのよね。マイクロマシンの変声機とか。ランシュも機械の研究してたんでしょ? どういうもの作ってたの?」


 何気なく尋ねた後で、ハタと気付いた。

< 36 / 263 >

この作品をシェア

pagetop