バイナリー・ハート
「何でもいいよ。オレ、好き嫌いないし。お菓子以外のユイの料理、なんでも食べてみたいな」

「何でもって言われると……」


 ランシュの返答にホッとしつつも、範囲が広すぎてかえって困る。

 結衣が口ごもっていると、ランシュが提案した。


「そうだ。先生は何が好きなの?」
「オムライス」
「オムライス?」
「うん。私の国の料理なの」


 初めて作った時、ロイドも珍しそうな顔をした。
 クランベールにはないものだという。

 結衣のオムライスは、ケチャップ味のチキンライスを薄く焼いた卵焼きで包み、ラグビーボールのような形に整えてケチャップをかけたものだ。

 お店のオムライスのように、フライパンの中で卵にライスを包むという高等技術ができない、結衣の苦肉の策である。

 本物とはちょっと違うけど、ロイドは結構気に入っているようで、時々リクエストする。

< 42 / 263 >

この作品をシェア

pagetop