バイナリー・ハート
 もう一度言うと、ユイは両腕でロイドの頭を抱え、髪を優しく撫で始めた。


「うん。知ってる。私も愛してるから」
「愛してる」


 益々しがみつくロイドをあやすように、ユイは髪を撫で続ける。


「大丈夫よ。あなたなら、きっと乗り越えられるから」


 言葉にできない、ロイドの漠然とした不安を、ユイは察しているのだろう。


「愛してる」


 壊れた機械のように何度も繰り返すロイドに、ユイは優しく相槌を打ちながら髪を撫で続けた。

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