騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「な、仲森さん!?」
無表情で段ボールを奪ったのは、なんと仲森さんだったのだ。
「俺が代わりにやるから、お前は引っ込んでろ」
「えっ、でも……」
「いい、俺がやる。お前に任せてたら、終わるのがいつになるか分からん」
わたしはさっき下着姿を見られて、少し気まずいと感じていたのに。
仲森さんは何もなかったかのような態度で。
それも少し複雑な気分になる。
「麻菜ちゃん、代わってもらなさいよ」
「でも……」
「こいつ、体力だけは有り余ってるくらいだし。麻菜ちゃん、これ以上やってたら倒れちゃうわよ」
「でも……」
わたしにはこれを拒むちゃんとした理由があったのだ。
それを考えると、どうしてもわたしの代わりに運んでほしいだなんて言えるわけなかった。