騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
「麻菜……調査も大切だけどね、デートも……」
「お昼頃がいいかな。じゃあ、明日の13時に調査開始ってことで」
「いや、だから……デート……」
「じゃあ、そういうことでよろしく」
まだ何か言いたそうなジョンを残し、新しい自分の家に足を踏み入れた。
「ふぅ……」
なんだかこの7年で随分この町は変わってしまった気がする。
このマンションに来るまでの間、高校時代の友人の家の前を通ったんだけれど、建て直されていて他人の家になっていた。
よく知っている町に来たはずなのに、知らない町に来たようだった。
わたしはあの頃から時間が止まったまま。
それなのに、この町は着実にこの7年という時を進んでいた。
時代に乗り時を進み続けるこの故郷と、時間が止まったままのわたし。
故郷にまで見捨てられた気分になった。