騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
わたしも話せたらよかったのにって、いつも思うんだけど。
英語だけはどう頑張ってもダメだった。
「7年アメリカにいたって聞いてたから、てっきり英語ぺらぺらだとばかり……」
「………まぁ、普通はそうでしょうね」
何だか、さっきから悪口を言われているようにしか思えない。
確かに言えるのは、ジョンは確実にわたしをバカにしているということ。
「7年もいて、英語が俺レベルって本当驚きだよ」
「いや、下手したら店長よりひどいかも」
この二人、言いたいこと言い放題言ってくれちゃって。
「店長、ジョン。わたしのことはそれくらいでいいんじゃないですか」
そして、先ほどから何も話さなかった仲森さんまでも。
「まぁ、麻菜だから。仕方ないだろ」
仲森さんが人前で初めて……
わたしのことを、「麻菜」と呼んだ。
今は二人きりの時しか、そう呼ばなかったのに。
仲森さん、一体何を考えているの……?