騙されてあげる~鬼上司に秘密の恋心~
突然くるりと向きを変えた仲森さんが、わたしの腕を掴んだ。
わたしの腕が突然止まり、持っていたスーパーの袋が大きな音を立てた。
「ちょっ……仲森さん……」
「今日泊めてくれ」
「……はい?」
突然おかしな言葉が聞こえて、自分から上ずった変な声が出た。
仲森さん……
今なんて……
「仲森さん、もう一度お願いします」
「だから、今日泊めて」
やっぱり聞き間違いではなかったらしい。
今日泊めてって……わたしの家にってことでしょう?
「泊めてって……どうしてわざわざわたしの家に……」
「まだ家の中、片付いてなくてぐちゃぐちゃなんだ。だから、頼むよ」
「………」